青島での留学から帰国後、学んだ中国語を生かして中国語関連の仕事に就職。

勤務終了後には中国語学校に通い、勉強を続けてきた。

だが、何か物足りない。もっと、もっと中国語に触れて、実力をつけていきたい。

そんな思いが募る毎日だった。

勤務先の業務内容の転換、それに伴う翻訳業務の減少が、私の背中を後押ししてくれた。

中国で仕事をしよう。決心してから上海に来るまでに、長い時間はかからなかった。

上海でのはじめての就職は、日系メーカー総経理秘書職。

中国語を生かせるという部分にひかれて、ある人材紹介会社からの紹介で応募し、順調に採用が決まった仕事だった。

中国語を使う機会もそれなりにあったが、あくまでもアシスタント的な仕事が中心だった。営業同行通訳、社内通訳、翻訳、総経理のスケジュール管理、等々。秘書としての仕事をこなす中で、自分の本当にやりたかった仕事はどんな仕事だったのだろうか？中国でどんなキャリアを積んでいきたいのか？さまざまな疑問が頭をもたげてきた。自問自答の日々が続いた。そんな中で、求めている仕事のイメージが徐々にはっきりと浮かびあがってきた。語学面のみを生かした通訳・翻訳のみではない、もっと幅広く付加価値のある仕事をしていきたい。今後の長期的な自身のキャリアプランを考えた場合に、より高い専門性が身につく仕事につきたい。方向性ははっきりと決まっていた。

入社から10ヶ月がたっていた。契約満了まであと2ヶ月だった。上司の総経理にもたいへん良くしてもらっていたが、心を決めて打ち明けた。ぜひ契約更新してほしかったとも言っていただいたが、引継ぎのスケジュールも含めた話へと話題は移っていった。

中国留学前の仕事は、金融関連のシステム開発を行う企業でのプログラミング業務だった。新卒で始めて就いた仕事だ。納期に追われて忙しい毎日だったが、もともと数学が好きな自分にとっては、非常にやりがいがあり、楽しい仕事だった。留学から帰って、はじめに就いた職場では、中国関連の金融情報の翻訳を行っていた。金融とIT。そして中国語。自己の棚卸を通して進むべき具体的な方向性も明確になった。ただ、この時点では、金融に関しては非常に興味はあるものの、実際の業務経験が無いことも有り、キャリアチェンジは多分難しいだろうと考えていた。

可能性を広げる為に前回とは別の人材紹介会社の門を数社たたいてみることにした。 そのうちの一社英創で紹介を受けたのが、金融機関でのコンサルティング業務だった。 金融関連のシステム開発経験があるとはいえ、実際の金融業界経験は皆無の自分に果たして可能性があるのだろうか？

担当コンサルタントの説明を詳しく聞き、書類選考をお願いして英創を後にした。

書類選考通過～最終面接までの過程では、仕事に対してこれまでどのように取り組んできたか、またどのように取り組んで行きたいかを中心に、関連業界での経験がない分、自身の潜在的な可能性についてアピールするように努めた。

就職活動を始めて一月で、正式なオファーを手にすることができた。決め手は、「留学から帰国後も目的意識をもって中国語の勉強に取り組んできたこと、そして長期的な筋の通ったキャリアプランを携えての転職活動だったことだ」と担当コンサルタントが教えてくれた。

入社して3ヶ月が過ぎた。

金融関連のコンサルティング業務。一口にいっても、非常に幅が広い。

金融関連のみならず、法律知識もときには必要な、多岐にわたる幅広い知識が要求され

る奥の深い仕事だ。学ぶことは山ほどあって、毎日があっという間にすぎてしまう。

「語学だけではない付加価値のある仕事に就きたい。そこで経験を積んでいきたい。」

希望どおりの転職ができた今、このチャンスを大切にして、発展する中国とともにますます自分に磨きをかけていきたいと目標に向かって邁進する日々である。